食・料理
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監修者:管理栄養士 佐々木倫美(ささきともみ)
とろろにして食べることの多い長芋や山芋だが、じつは山芋という品種は存在しないことを知っているだろうか。山芋とはいったい何なのか、見た目や味など長芋とのいろいろな違いのほか、里芋との違いまで詳しく解説しよう。
長芋と山芋に違いはあるのだろうか。それぞれについて詳しく見ていこう。
山芋とはヤマノイモ科に属する芋の総称であり、山芋という品種はない。山芋に分類される品種は多く、それぞれ見た目や粘り気、風味など、異なる特徴を持っているのだ。
長芋もヤマノイモ科の一種であり、水分が多く粘りが少ないのが特徴だ。ほかの山芋と長芋の違いとして、長芋は旬が2回あることがあげられる。11月初めから12月に収穫される秋堀りと、その時期に収穫せずに越冬させて3月から4月に収穫する春掘りがあるのだ。
秋堀りはフレッシュさが魅力だが、春掘りは旨みが凝縮されるため濃厚な味わいを楽しめる。
自然薯(じねんじょ)や大和芋は「山芋」として販売されていることがあるが、長芋と同じくヤマノイモ科の一種である。自然薯は、日本に昔から自生している日本原産の山芋で、自然に生えるところから別名で「自然生(じねんじょう)」とも呼ばれるのだ。
大和芋は関東地方で「いちょう芋」を指していることがあり、近畿地方では「つくね芋」を大和芋と呼ぶことがある。地域によって呼び方に違いがあるため、スーパーではまとめて山芋としているケースが多いようだ。
長芋と山芋は同じヤマノイモ科の野菜だが、見た目や味などには違いがある。いろいろな違いと併せて、使い方や注意点についても紹介しよう。
長芋の見た目は円筒形の長い形をしているが、同じヤマノイモ科でも山芋と長芋は違った形をしているのだ。いちょう芋はその名の通り、イチョウの葉の形をした平たい見た目で、つくね芋は丸っこいゴツゴツした形をしている。
長芋があっさりとした味で粘りも弱いのに対し、山芋は味が濃く粘りも強いという違いがある。いちょう芋は上品な甘みがあり、つくね芋はいちょう芋より強い粘りと味の濃厚さが特徴だ。
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とろろはもちろんだが、長芋のサクサクとした食感を活かすため、切って和えものやサラダにするのがおすすめだ。山芋は粘りのある食感を生かすために、とろろにするのがよいだろう。
加熱するとモチモチの食感に変わるので、お好み焼きのつなぎとして加えるほか、グラタンにも活用できる。
長芋と山芋は栄養価に大きな違いはないが、長芋は水分が多いため、山芋に比べると100g当たりのカロリーが少し低くなっている。(※1)どちらもカリウムが豊富で、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンC、葉酸などの栄養も含まれているのだ。(※1)
長芋と山芋は、どちらもアレルギーを起こす可能性がある。主な症状は、口の中のかゆみや喉がイガイガするといった違和感のほか、蕁麻疹、吐き気や腹痛、息苦しさや呼吸困難などだ。重症度やどういった症状が出るかは人によってさまざまなので、気をつける必要があるだろう。
また、アレルギーではない人でも調理中に手がかゆくなったり、口の周りがかゆくなったりしたことはないだろうか。これは、シュウ酸カルシウムという物質によって、アレルギー症状ではない皮膚のかゆみや痛みが出ている状態である。シュウ酸カルシウムの結晶は針のようなとがった形状なので、皮膚に直接的な刺激となってかゆみや痛みを引き起こすのだ。
かゆみが起きた場合は、シュウ酸カルシウムが原因のかゆみだけでなく、アレルギーの可能性も考えて対応するとよいだろう。
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山で採れる山芋に対して、里で採れるため里芋と呼ばれるようになったといわれている。長芋や山芋はヤマノイモ科、里芋はサトイモ科で種類が違い、ともにぬめりのある芋だが別ものなのだ。
里芋もさまざまな品種が存在し、長芋などとは見た目にも違いがある。一般的なのは丸くコロンとした見た目の土垂(どだれ)と石川早生(いしかわわせ)。ほかにも海老に似ているエビ芋や、タケノコに似たタケノコ芋などがあるのだ。
また、大きな違いとして長芋と山芋は生食が可能だが、里芋は生食ができないことだろう。煮物にして食べることが多いが、焼いたり揚げたりしても美味しく食べられる。
山芋とはヤマノイモ科に属する芋の総称であり、いちょう芋やつくね芋と呼ばれる芋を指している。同じヤマノイモ科に属する長芋とは見た目が違い、味も濃く粘りが強いのが特徴だ。また、里芋は別の種類の芋のため、山芋のように生食はできない。長芋も山芋も栄養価が高く調理法によっていろいろな食感が楽しめるので、アレルギーには気をつけながら日々の食事に取り入れてもらいたい。
(参考文献)