食・料理
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監修者:管理栄養士 児玉智絢(こだまちひろ)
日本の食卓に欠かせないご飯は、炊飯器で炊くことが多い。しかしご飯は、鍋でも美味しく炊けることをご存じだろうか。料理初心者には難しそうな鍋による炊飯、実は思いのほか簡単にできる。本記事では鍋を使ったご飯の炊き方について、鍋や米の種類とともに説明する。
鍋でご飯を炊くというと、それに特化した特別なツールが必要かと思うかもしれない。ここでは、普通の鍋でご飯を炊く場合の方法を説明する。
鍋でご飯を炊く段になって困るのは、水の量ではないだろうか。炊飯器のように釜に水量が記されていない鍋は、水の量に頭を悩ませてしまう。鍋の種類にもよるが、一般的に鍋でご飯を炊く時の水の量は、米の量の1.1~1.3倍である。
1合 水180~200ml
2合 水360~400ml
3合 水540~600ml
4号 水720~800ml
これはあくまで基本であり、鍋の種類やご飯の硬さの好みによっても異なる。
美味しいご飯を鍋で炊くためには、洗米の段階から意識してみよう。最初の洗米は米が水分をよく吸うため、質のよい水を使うとよい。この水で米を握りしめるようにして洗い、2~3回洗い流す。洗米後の浸水も、美味しいご飯のための必須工程である。ザルで水を切った米は、1時間以上の余裕を見て上質な冷水に浸ける。
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次はいよいよ加熱をする。米2合を炊くと仮定しよう。米の量に合った水360~400mlを鍋に入れたらふたをし、中火で加熱する。ブクブクと音がして沸騰が確認できたら弱火にし、さらに9分弱加熱をする。ふたを取って水分がなくなったことを確認したら火を止める。近年は鍋で炊くご飯の美味しさが脚光を浴び、IHのクッキング鍋も販売されている。ご飯にむらなく火が通るこうしたツールを使うと、さらに美味しくなる。
火を止める前に鍋のふたを取り、水がなくなっていることを確認しよう。もう1度ふたをして、そのまま10分ほど蒸らす。ふっくらとしたご飯を食べることができる。
一口に鍋といってもその種類は多い。使う鍋によってもご飯の炊き方は微妙に異なる。鍋の種類別、ご飯の炊き方のコツを見てみよう。
土鍋で炊くご飯の美味しさは格別といわれている。土鍋に火を入れる場合は、ゆっくりと10分ほどかけて沸騰させると、炊き上がりがふっくらする。米の量が少ない場合は、最初もあまり火を強めず中火以下で加熱するのがコツである。土鍋でご飯を炊く際に気をつけたいのが焦げである。焦げ付くと後始末が大変なので、焦げていないかチェックしながら調理するとよい。
煮物などが美味しく料理できることで人気があるホーロー鍋。ストウブやバーミキュラなど、スタイリッシュな鍋が多いのも人気の要因である。ホーロー鍋でご飯を炊く際には、米の量が少なくても沸騰に十分時間をかけるのがコツである。また米を炊く際にはふたは取らないのが常識とされているが、炊飯中もふたを開けて中の状態を確認するとよい。沸騰後には、しゃもじで米を鍋からはがすように軽くかき混ぜるのもおすすめである。
オール電化の家の場合は、ステンレスの鍋が主役である。ステンレスの鍋でももちろん、ご飯は美味しく炊くことができる。熱伝導に優れたステンレス鍋の場合も、水が沸騰したあとは温度が全体に均一となるよう、かき回すのがよい。沸騰後の数分は、できるだけ弱火でゆっくりと火を通すのが美味しく炊くコツである。
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生活が多様化し米の種類も増えた。通常の精白米だけではなく、健康を考慮したり、1人暮らしに合ったタイプの米を選ぶケースも多い。米の種類が変わった場合、鍋での炊き方は変わるのだろうか。詳細を見てみよう。
プチっとした食感や食物繊維の多さなどを理由に、もち麦を好む人は多い。もち麦を鍋で炊く場合は、土鍋がおすすめである。好きな割合のもち麦と米を混ぜたら揉むように洗い、しっかりと水に浸ける。このときに出汁昆布を入れると、炊き上がりがさらによくなる。中火で鍋の中身を沸騰させたら、火を弱めてさらに15分程度加熱する。10分ほど蒸らせば完成である。
時短にもなる無洗米を鍋で炊く場合は、どんなコツが必要だろうか。無洗米は洗う手間は省けるものの、浸水の工程は省かないほうがよい。また無洗米を鍋で炊くときに重要なポイントは、水の量である。通常の米を炊く時より1割ほど多めの水で炊くのが基本である。たとえば1合を炊く場合、通常の米ならば200mlを入れるところを220mlに増やすといった具合である。そのあとの作り方は、普通の米と同じである。
炊飯器は便利な道具であるが、ご飯を鍋で炊くとその美味しさに開眼するかもしれない。自宅にある鍋はステンレス製やホーロー製などさまざまな種類があり、その鍋に合わせた炊き方がある。鍋で炊くご飯は、1回では完璧に仕上がらないことも多い。好みの硬さ、鍋の癖などを学びつつ、美味しいご飯を炊いてほしい。
(参考文献)